表情がない人は何か重いものを背負っている

私はこの仕事が気に入っていたがたまに妙な患者もやってくるその患者は初診の時いきなり私にこう言った先生僕に鍵を差し込んでくださいいや申し訳ないけどね鍵はすぐには作れないんだよ。
ゆっくり作っていこうそうですかその患者を診察する内に私は彼の鍵を作ることが恐ろしくなってきた彼の話では彼は凄惨な過去を持っており 全員を殺人犯によって殺されていたそんな過去を持ちながら彼は私の診察の時に過去の話を笑顔で話すのだ家族全員を殺されるというあまりにひどい出来事が彼の心をバラバラにしてしまったのだろうか。
私は彼に鍵を差し込んでいいのか迷ったいくどもの診察を経て彼の鍵は完成したこちらがあなたの鍵です私が鍵を見せると彼は感嘆の声を上げた本当によろしいのですね私がそう尋ねると彼はもちろんお願いしますと笑顔で言った。
彼の胸の部分に鍵を押し当てる深呼吸をしてから鍵を押すと鍵はゆっくりと彼の中に入っていた鍵がまだ半分も入りきらないうちにいつも笑顔を絶やさなかった彼の目から涙がこぼれ落ちた。
父さん彼は私が鍵を押し込むことに家族の名前を一人一人読んだ鍵を差し込むことで家族との思い出が彼の心の中で元の場所に戻っていく身体全体を震わせて泣き続ける彼に対して私はこのまま鍵を全部差し込んでいいのか迷った。